「玄米が健康に良いと聞くけれど、本当に健康に良いの?」
玄米に関するさまざまな情報が飛び交う中、実際のところ「玄米 危ない」「便秘になった」との声も耳にします。
また、毒がある?と噂も。
この記事では、玄米の栄養素やそのリスク、消化の問題や残留農薬に関する懸念、そして安全で美味しい玄米の食べ方まで、管理栄養士でありベジタリアンの著者が専門家の視点から詳しく解説しています。
玄米は健康に一役かってくれるすばらしい食材です!いろんな健康に関する情報で玄米食が推奨されています。
玄米のことを知ることで、あなたの食生活はより豊かで健康的なものになるでしょう。
ぜひ、この記事を読んで、玄米を取り巻く疑問や不安を解消して、安心して美味しく玄米食を楽しんでいきましょう。
玄米の基礎知識
まずは玄米についての基礎知識を見ていきましょう。
玄米と精白米の違いは?
まず、玄米と白米の最大の違いは、米粒の外側の部分です。
玄米は収穫したお米からもみ殻が取り除かれただけの状態です。
白米は玄米から外側の茶色い部分の「ぬか」や「胚芽(はいが)」が取り除かれています。
この削ってしまっている部分には、ビタミンやミネラル、食物繊維が含まれています。
これらの栄養素は体にとって、とても大切で、健康維持に寄与しています。
玄米食が完全食と言われるのも分かる気がします。
白米はその栄養豊富な外側の部分が取り除かれています。
ですが白米は主食としてとても食べやすく、消化がしやすい純粋なエネルギー源になります。
胚芽だけ残して精米したお米を胚芽米といいます。
この胚芽部分にGABAという成分が含まれていると言われています。
玄米と白米の栄養素について
上記のとおり、玄米は白米に比べて栄養価がとても高いことがわかります。
特に、食物繊維、ミネラル、ビタミンの量が多い点が注目されます。
また、GI値が低いため、血糖値の急上昇を抑える効果も期待できます。
太りにくく栄養価も沢山ある素晴らしい食べ物であると言えます。
ですが、完全栄養食とするには足りない部分もあります。
また後程、お話していきます。
玄米に含まれるビタミンとミネラル
玄米は白米に比べてビタミン・ミネラルを多く含んでいます。
生のお米100gあたりで特筆すべきものを挙げていきます。
玄米に含まれる栄養素
カリウム 230mg
マグネシウム 110g
鉄 2.1㎎
ビタミンD 1.2g
ビタミンB1 0.41㎎
白米に含まれる栄養素
カリウム 89mg
マグネシウム 23mg
鉄 0.8㎎
ビタミンD 0.1g
ビタミンB1 0.08㎎
となっています。
ビタミン群は体内の代謝を助け、エネルギーの生産に重要な役割を果たします。
玄米にはたくさんの栄養素が含まれていることが、一目瞭然です。
玄米と白米のエネルギー量と糖質、炭水化物の量
玄米と白米のエネルギー量や糖質量はほぼ同じです。
炊いた玄米100gあたりのエネルギー量は152kcal、炊いた白米100gあたりのエネルギー量は156kcalです。
お茶碗一杯(150g)あたりでは玄米で約228kcal、白米で約234kcalとなります。
糖質(炭水化物)の量は炊いた玄米100g辺り35.6g、白米では37.1gです。
栄養素が豊富な玄米を食べる際でも、エネルギー量の取り過ぎには注意が必要です。
そして次項のGI値のことも考慮する必要があります。
GI値の違いの比較
玄米は白米に比べてGI値が低いです。
玄米がGI値56 白米はGI値84 です。
GIとはGlycemic(グリセミック) Index (インデックス)の略です。
GI値が高い食材を食べた後の血糖値は急上昇
GI値が低い食材を食べた後の血糖値は緩やかに上昇します。
血糖値が上昇すると、すい臓からインスリンというホルモンが多く分泌されます。
このインスリンは血糖値を下げる働きと、脂肪を作り、脂肪の分解を抑制するという働きをもっています。
そのため、高GI食品を沢山食べるとインスリンが沢山分泌されて、肥満の原因となり、糖尿病のリスクもあります。
また、GI値は70以上が高GI,GI値56~69が中 GI値55以下が低GIとなっています。
GI値56の玄米を食べると、食後の血糖値の上昇が緩やかであることを意味しています。
脂肪が作られにくく、太りにくいという意味でもあります。
玄米と白米のお茶碗一杯でのエネルギー量はほぼ変わりありませんが
食物繊維や栄養素の量、GI値にはかなり差があります。
玄米のデメリットと危険性
玄米は消化が良くないことが知られています。
先ほど述べたように食物繊維があり、GI値が違います。
白米と比べて外に一枚皮が多く、胚芽もあるため消化しにくくなります。
食物繊維が豊富なため、玄米を食べ始めた時にお腹が緩くなったり、逆に便秘気味になることがあります。
これに対処するためには、よく噛んで食べるか、酵素玄米として消化しやすくしたり、水分を多くとってみたり、他の食品のバランスを整える必要があるかもしれません。
玄米に残留農薬や毒?フィチン酸・アブシジン酸、ヒ素の問題
玄米には毒がある、という説を唱える人もいます。
でもちょっと待って。
しっかり見ていきましょう。
玄米の残留農薬
玄米には白米よりも一枚表皮が多いため、栽培時に使用された農薬が残っている可能性があります。
白米と比べると、外皮を取り除いたそのままの状態の精米していない玄米には沢山の農薬が残る傾向にあります。
安全に食べるためには、農薬の多く残りがちなぬかの部分をしっかりと洗ったり
長めにお水に浸けておくと減少させることが出来ますが
美味しさと安全性を考えると、オーガニックや期間無農薬栽培の玄米を選ぶことが推奨されます。
玄米の毒?フィチン酸とは
フィチン酸(phytic acid)は、植物の三大栄養素のひとつ、リン酸を貯蔵する役割のある物質で、穀物、種子、ナッツ、豆類に多く含まれています。
フィチン酸は種子や穀物の発芽時に必要な栄養分を提供します。
フィチン酸は、体内に取り入れる際に特定のミネラル(鉄、亜鉛、カルシウムなど)と結合し、その吸収を妨げることがあると言われます。
一方で、フィチン酸には抗酸化作用や抗炎症作用もあります。
このフィチン酸は、加熱や発酵、浸漬をすることで、含有量を減少させることができます。
バランスよく他の野菜を食べてミネラルを摂取していけば大丈夫だと言えるでしょう。
フィチン酸の構造と機能
玄米粉の塩化ナトリウム洗浄が、フィチン酸の抗酸化作用に与える影響 : 論考(研究ノート) | CiNii Research
この研究では過酸化脂質生成が抑制され、体内のコレステロールや中性脂肪などが活性酸素で酸化されるのを防ぐ効果がある事が明らかになったとのことです。
玄米の毒?アブシジン酸とは
アブシジン酸によって細胞内のミトコンドリアが傷つけられてしまうという一文がよく見られます。
「アブシジン酸」は植物の生長や生理活性を調節する「植物ホルモン」として知られている化合物です。
先ほどのフィチン酸と同じく、普通に含まれているもの。
全ての植物がもっている物質で菌類や藻類、動物細胞からも検出されており、生きていくのに必要な物質です。
このアブシジン酸は植物が乾燥や低温などのストレスにさらされると合成されます。
葉の気孔を閉じたり、種の発芽を抑制したり、花の開花や果実の熟成などにも関わっています。
また人体内でも血中の好中球の活性化に関わっていることが示されています。
食品安全委員会は2010年3月に「米国環境保護庁がアブシジンの残留基準値を恒常的に免除した」と報告されており、一般的にはアブシジン酸に危険性がないとされています。
参照: 食品安全委員会 米国環境保護庁(EPA)、植物調節剤、S-アブシジン酸の残留基準値設定免除に関する規則改定
むしろ抗炎症作用によって動脈硬化や糖尿病の予防・改善に有用であるという可能性が示唆されています。
一部の情報源では、アブシジン酸の摂取によって免疫が低下する、脳の働きが低下する、一方ではイライラや口臭・体臭の変化などの影響があるとの説がありますが、これらの主張には十分な科学的根拠がないようです。
結論として、アブシジン酸に関する科学的な研究や報告で有害性を示すものはほとんどなく、実際には人体に有害な影響を及ぼすという明確な証拠が見つかっていません。
玄米に含まれるヒ素について
玄米には自然にヒ素が含まれていますが、その量は品種や栽培方法によって異なります。
玄米のヒ素含有量に関する研究では、玄米を食べ続けることによる潜在的な健康リスクも指摘されていますが、日本で明確な健康被害が発生しているという例はありません。
元素記号でAs(Arsenic)元素番号33番
ヒ素は農薬や半導体の原料にもなります。
ヒ素には有機化合物と無機化合物があります。
有機化合物としてひじきなどにも含まれており、一時ひじきは危険!と騒がれていました。
ですが、人の体には微量が必要とされています。
またヒ素は植物や動物の体内にも微量に存在しています。
無機化合物としてのヒ素は毒物として知られるもので、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
症状としては王と、腹痛、下痢などです。
長期間体内に蓄積するとガンを引き起こすとも言われています。
ですがこのヒ素は尿や便から排泄することができます。
バランスの取れた食生活を送れば、玄米を食べることによる健康への影響は一般的に問題ないとされています。
玄米を安全に美味しく食べるコツ
玄米に含まれる毒は毒ではないということがご理解いただけたところで、この玄米を美味しく食べるためのコツをお伝えしようと思います。
まず、玄米は白米と比べ、外側に一枚、皮があり、胚芽もついているので、浸水させておくことが必要です。
色んな動画を見てみると、お米同士を強くこすり合わせたり、泡だて器で洗うものを見かけますが、
もし玄米の独特の風味、農薬が気にならないようであれば、軽くすすいで24時間ほどお水に浸けておくことをおススメします。
アブシジン酸やフィチン酸などは発芽に関係する物質なため、しっかり浸水させるといいとも言われています。
気になる方、温かい時期は途中でお水を変えてあげましょう。
普通の炊飯器ではちょっと固くなりがちな玄米も、この24時間の浸水やごしごし洗いでだいぶ柔らかく食べやすくなります。
おススメは玄米モードのある炊飯器、玄米専用の炊飯器になりますが、土鍋で炊くのもふっくらと美味しく出来上がります。
炊きあがったあとにしっかりと蒸らしておくことも大事な要素になります。
玄米だけで炊いていた方も多いと思いますが、良いお塩を小さじ軽く1杯ほど加えると食べやすくなります。
わたしは三合の炊けたご飯を7つに分けて食べています。
大体1食分130gくらい、エネルギー量は215kcalくらいになります。
(お水の量などによっても前後します。)
このタッパーはイオンで売られていて、余計な溝がなく、洗いやすく重ねやすくてとても便利です。
わたしが使うタッパーの八割はこのイオンのもので、サイズが大・中・小とあります。
レンジでも使用可能とのことです。
玄米のとぎ汁は捨てないで!
もしあなたが購入した玄米がオーガニックのものだったら、捨てるのはちょっと待って!
その栄養と酵母たっぷりのとぎ汁を発酵させたら美味しいヨーグルトになったり、水キムチを作れたり、日本酒を美味しく飲めたりします!
お風呂や掃除にも使えちゃうんです。
玄米のとぎ汁の発酵させ方。
玄米を洗ったとぎ汁(出来たら二回目のちょっと強めに洗ったもの)をボトルに入れ、糖分を小さじ1~2ほど加えて室温におきます。
夏だったら一日で発酵は進みます。
冬なら1週間ほど見ておくと良いと思います。
時々蓋を開けてあげると、プシュッと炭酸が上がってきます。
そのまま飲んでも美味しいし、色々活用できます!
玄米で水キムチの作り方
作り方
タッパーなどの容器に材料を入れて冷蔵庫に入れておくだけです!
早く食べたい場合は冬なら一晩程度、夏は1~2時間ほど室温においておくと良いでしょう。
汁も酵母やうまみがいっぱい!
少し薄めて冷たいスープやお酢を入れて冷麺にもどうぞ!
安心・安全なお野菜を使ってくださいね!
玄米発酵液でヨーグルトの作り方
作り方
キレイな容器に入れてかき混ぜ、半日ほど置いておき、とろりとしたら完成!
あまり置きすぎるとぶつぶつになり、酸っぱくなります。
これはこれで美味しいですが、気温や発酵液によるので、最初は様子見で作ってみてください!
玄米食は完全食?落とし穴に注意
菜食主義で玄米は身体にいいからと、玄米とお味噌汁、梅干しだけで生活する人もいます。
そして体調を崩す人がいます。
これはいけないと思ってお肉やお魚を食べ始めて回復するそうです。
せっかくやめた肉食…
実は、玄米にはビタミンB12が含まれていません。
植物由来の製品にはビタミンB12が含まれていないので、菜食主義の人はビタミンB12が確実に足りません。
菜食主義、ヴィーガンに不足するビタミンB12とは何か
ビタミンB12、別名はコバラミンといいます。
生理作用:奇数鎖脂肪酸代謝、アミノ酸代謝、核酸代謝、葉酸代謝に関与
欠乏症:巨赤芽球性貧血、末梢神経障害
魚介類、肉、乳類に含まれているため、完全菜食主義者は不足に注意が必要です。
また、ビタミンDも不足しがちですが、こちらは酵母やきくらげなどで摂取できます。
参考文献 女子栄養大学出版部 八訂 食品成分表2024
管理栄養士、食に携わるお仕事の方は必須のアイテムです。
菜食になったばかりの時、
私は貧血気味、疲れが酷かったりシャンビリに似た症状に悩まされていました。
管理栄養士として恥ずかしいです。
これはニュートリショナル・イーストを取り入れることで改善されました。
ヴィーガン・ベジタリアンは危ない?必要な栄養素、不足する栄養素は?管理栄養士が解説。
ちゃんとした知識と経験は大事だとつくづつ感じた出来事でした。
わたしのおススメのニュートリショナル・イースト。
これが一番個人的にコクを感じて美味しかったです。
まとめ
口にするもの体に入れるものは出来る限り自然で安全でおいしいものにしたいですね。
そして正しい知識を持つということも大事だなとつくづく思う私です。
日々、いろんなことが新しくなっていきます。
ココが違うよ!ってことがあったら是非、おしえてください!
それでは、また。